EMMY代表 渡辺満枝 著者:渡辺満枝

日頃日常生活の中で感じたサービスの事や、マナー、相手のちょっとした気づきで嬉しかったことなどコラムにしました。

  1. 【コラムメニュー】
  2. 第1回
  3. 第2回
  4. 第3回
  5. 第4回
  6. 第5回
  7. 第6回
  8. 第7回
  9. 第8回
  10. 第9回
  11. 第10回
  12. 第11回
  13. 第12回
  14. 第13回
  15. 第14回
  16. 第15回
  17. 第16回
  18. 第17回
  19. 第18回
  20. 第19回
  21. 第20回
  22. 第21回
  23. 第22回
  24. 第23回
  25. 第24回
  26. 第25回
  27. 第26回
  28. 第27回
  29. 第28回
  30. 第29回
  31. 第30回
  32. 第31回
  33. 第32回
  34. 第33回
  35. 第34回
  36. 第35回
  37. 第36回
  38. 第37回
  39. 第38回
  40. 第39回
  41. 第40回
  42. 第41回
  43. 第42回
  44. 第43回
  45. 第44回
  46. 第45回
  47. 第46回
  48. 第47回
  49. 第48回
  50. 第49回

渡辺満枝の気づきのココロ

第13回

心を込めて“聴く”.コミュニケーションの要諦は熱意です

ゴールデンウィークが終わって数週間。町はいつものようにスーツ姿のビジネスマンが忙しそうです。長いこと安、近、短と言われたレジャートレンドも、今年は長期休暇をとる人が増えたとか。景気の回復が本格化しているのかもしれません。

この間、企業や政治家の不祥事が世情を賑わしました。
特に政治家の年金未払い、このニュースが報道されない日はありません。
年金問題は国民にとって最大の関心事であり、それだけに厳しい目を向けているのですが、あれだけ大勢の政治家が未払いという姿を見るにつけ、怒りや驚きを通り越し、ただただ呆れるばかりです。
この国の政治家には為政者としての資格はない、そんな無力感にも苛まれます。

何より国民を落胆させたのが後処理でしょう。
未払いの理由は皆、一様に秘書や事務所に任せたため自己責任を回避します。
イラクで人質になった若者に対して浴びせられた「自己責任」は、同じ政治家の口から出た言葉ではなかったか。
これでは国民が納得するどころか、なお怒りを膨らませるばかりです。前回も述べましたように、クレーム処理としては一番稚拙かつ最悪のパターンと言えるでしょう。

最悪を絵に描いたような振る舞いが、前民主党代表のお詫び行脚でした。
あれほど強い調子で自民党の未払い議員を攻め立てたのに、自分のこととなるとトーンダウンして覇気のない声、もごもごした話し方で弁解ばかりが先に立ち、自分の非は認めない。
その姿勢からは説得力が微塵も感じられません。
たった一人の印象が組織そのものの印象を大きく左右します。
今夏の参院選に響くのは必至でしょう。それほどまでに党の顔、組織を代表して聴衆に訴える人の話し方と内容は、重要な意味を持つのです。

以前、複数の自動車会社が新車の合同発表会をしたことがありました。
最初にA社の営業マンが壇上に立ち、

「当社の新車である○○のエンジンは△△を使用しておりまして、性能は………。そしてインパネ周りは××を使用しています」

実に堂々たる説明で、聞いていた顧客は感心し、大きな拍手が起こったとか。

次にB社の営業マンが話します。

「A社のエンジンは△△を使用しているとおっしゃいましたが、当社のエンジンは□□を使用しておりますので、A社より××が優れております。インパネ周りはA社に比べ……」

A社との比較を的確に説明したことで、顧客は更に感心し、A社にも増して大きな拍手だったとか。

最後にC社の営業マンが出てきました。聞いてみましょう。

「先ほどからA社、B社の分かりやすい説明に、大変感動しています。
私は2社の営業マンみたいに上手に話せませんが、どうかお許し下さい。

さて、子供の頃、遠足へ行ったときのことです。
友人達のおにぎりは丸や俵型などバラエティに富んだ形でしたが、私のそれは必ず三角形をしていました。時には形の違うおにぎりも食べてみたいと思いましたが、大人になって分かりました。
手と手を合わせてご飯を握ると、自然に三角形になるのです。
つまり、三角形は自然な形なのです。

わが社の三角形をしたロータリーエンジンも、自然と科学が結びついた形状で、大変素晴らしいエンジンです。
このようなエンジンを搭載している我々の新車▲▲に心底惚れ込んでおりますし、私は自分の会社も大好きです。
生まれ変わってもまた、この会社に就職したいと思っています。以上です。ありがとうございました」

その話し方は訥々として、お世辞にも上手とは言えませんが、顧客は大いに感動し、しばらく拍手が鳴り止まなかったそうです。

次のようなことが言えるでしょう。
A社の営業マンは顧客に対して「説明」をした。B社の営業マンはA社との比較で「説得」をした。そしてC社の営業マンは顧客に「納得」させたのです。

人の心を動かすには、人の心でしかできません。
説明や説得では駄目なのです。立て板に水でとうとうと話す。
これはこれで大切な技術と言えますが、たどたどしくても心を込めれば、人の琴線に触れるもの。
熱く語ることの本意は、どこかの国の首相のように絶叫すれば良いというものではありません。
自分の扱う物やサービスに心底惚れ込み、自信を持つこと。そして、熱い思い入れが相手の心を動かします。

先述の未納党首が、仮にこう語っていたらどうだったでしょう。

「誠に申し訳ございません。事務所に任せていたとはいえ、私の管理不行き届きです。
二度とこのようなことがないよう、また、国民の皆様の信頼を回復すべく政治生命を賭して努力致しますので、是非、ご支援のほどよろしくお願い致します」

簡潔に、熱く、パワフルに、心をもって語ったなら、国民の印象はぐっと変わったに違いありません。
捨ててこそ浮かぶ瀬もある、と言うように、言葉には覚悟が必要です。
覚悟は心のありようです、といったことを、垣間見せた寸劇でした。

さて、説得力は話す行為ですが、人がコミュニケーションをとるときに一方通行はあり得ません。
話す、聴くは一対の行為で、「聞く」ではなく「聴く」なのです。
聞くは何となく聞こえてくることで、聴くは「耳」と「心」と「目」で、一生懸命

に傾聴すること。その態度が漢字の部位に込められています。そこで聴き方のポイントを考えてみましょう。

■うなずき、あいづちを取り入れる
軽い驚きや復唱、質問を挟むと聴き上手になります。
あるアナウンサーは著書の中で、新婚さんのようになりましょうと指摘します。
古女房はご主人が帰って「ただいま」と言っても、台所でコトコトと、「おかえり」を言うでもない。
「今日会社でこんなことがあってね……。なんだ、聴いてないんだ」
「聞いてるわよ、だから何?」。
これでは心が通いません。新婚さんは「ただいま」と言うと玄関まで飛んでくる。
「今日会社で」と話し出すと、「それでそれで」、「へぇ〜」などと頻繁に相槌や軽い驚きが入るので、話題が尽きないということです。
■表情
トラブルやクレームの場合は神妙な顔が良いでしょう。
■先入観を捨てる
あの人はこういった人だからなどと他人の情報が事前にインプットされると、どうしてもフィルターをかけがちです。真っ白になって聴くことが大切です。
■話の腰を折らず最後まで聴く
トラブル、クレームのときには途中で「うちに限って」とか「よくあること」など、余計なことは言いません。分からないことは全部聴き終えてから、最後に質問します。

以上を踏まえ、積極的な傾聴を心掛けると、より良い人間関係が築けます。ひいては贔屓客を増やすことにも繋がるのです。

「月刊ゴルフ用品界2004年6月号」((株)ゴルフ用品界社発行)より
ぜひ、このコラムへのご意見・ご感想をお聞かせください
▲TOPに戻る