EMMY代表 渡辺満枝 著者:渡辺満枝

日頃日常生活の中で感じたサービスの事や、マナー、相手のちょっとした気づきで嬉しかったことなどコラムにしました。

  1. 【コラムメニュー】
  2. 第1回
  3. 第2回
  4. 第3回
  5. 第4回
  6. 第5回
  7. 第6回
  8. 第7回
  9. 第8回
  10. 第9回
  11. 第10回
  12. 第11回
  13. 第12回
  14. 第13回
  15. 第14回
  16. 第15回
  17. 第16回
  18. 第17回
  19. 第18回
  20. 第19回
  21. 第20回
  22. 第21回
  23. 第22回
  24. 第23回
  25. 第24回
  26. 第25回
  27. 第26回
  28. 第27回
  29. 第28回
  30. 第29回
  31. 第30回
  32. 第31回
  33. 第32回
  34. 第33回
  35. 第34回
  36. 第35回
  37. 第36回
  38. 第37回
  39. 第38回
  40. 第39回
  41. 第40回
  42. 第41回
  43. 第42回
  44. 第43回
  45. 第44回
  46. 第45回
  47. 第46回
  48. 第47回
  49. 第48回
  50. 第49回

渡辺満枝の気づきのココロ

第15回

ピグマリオン効果に見る.スタッフ教育の褒め方、叱り方

夏、ゴルフを終えたビールの美味しさは格別なものがありますが、温度とビールは密接な相関関係にあるようです。
28度を越えた場合、気温が1度上がるごとにビールの売れ行きは5679キロリットルずつ増えるのだとか…。
大瓶に換算すると、なんと900万本に相当します。30度を越そうものなら想像を絶する大量のビールが人間の体内に吸収されるわけですが、「とりあえずビール」と言われるように、「とりあえず」を付けられてしまう気の毒な飲み物でもあるようです。

「とりあえず」の後、吟味しながら戴くアルコールにワインがあります。
ワインは10年前の2.3倍にも消費量が上がったそうで、特に赤ワインのポリフェノールが健康に良いとブームになりました。
種類も多く選択に困るのですが、そんな時は友人の「ソムリエ真未ちゃん」が的確なアドバイスをくれるのです。

その真未ちゃん、大学を卒業して間もないある日、都内の有名レストランのシェフに会って「フランス留学でソムリエの資格を取りたい」と告げると、「君はフランスに、日本人としてどんなアイデンティティを持って行くのか?」と尋ねられたそうです。

予期せぬ質問に驚き、答えられない自分を恥じ、フランス行きをやめてしまい、とうとうそのシェフの元で修行することになりました。シェフは仕事の心得を、次のように話したそうです。

「この仕事はお皿を運ぶだけでは駄目なのです。
お客様はどんな目的でこの店に見えたのか?エントランスから着席するまでの間に、何を求めているかを一生懸命考えなさい。
そのために、エントランスは長くしてあるのですから。また、勉強は人から教わるものではなく、自分でするもの。ワインは毎日たくさんのお客様に提供する、その経験で覚えなさい」

そんなわけで、彼女は来る日も来る日もお客様を真剣に観察し、お客様のことばかりを考えていたのです。
そうしていると、不思議にお客様が何を考えているのか、何を望んでいるのかが分かるようになったというのです。
例えばカップルの一方がお手洗いに行きたいのかしら?と感じたら、「失礼致します」と真未ちゃんが割って入る。すると決まってその人は席を立つそうです。

「人の心が読める」、「相手に合わせた対応ができる」――。これ即ち顧客満足。シェフの教えを忠実に守り、人の心が読める豊な感性を身に付けた真未ちゃんは、ソムリエ資格の最短期間である5年で合格したのです。
彼女自身の努力もありますが、素晴らしい上司に恵まれたことが最大の幸運でしょう。優秀な上司は部下の育成も一流なのです。

しかし、部下は千差万別。育成法にもこれが一番という極め付けがないため、企業の管理職は一様に頭を悩ませているようです。
それが証拠に世の中には、リーダーシップ論の本がゴマンとあります。最近は指示待ち人間が増えてますが、こうした人達のモチベーションを上げ、主体的に仕事に取り組ませるにはどうしたら良いのでしょうか。

アメリカのローゼンタールという人が、ある小学校で次のような実験を試みました。
小学生に知能テストを実施、その中からランダムに何人かを抽出し、担任の教師に「この子達が伸びる生徒です」と言って託しました。
1年後に再度テストをすると、伸びると言われた子供達は、そうでない子供達に比べて明らかに成績が上がったのです。
期待をすることで相手もその期待に応えようとする現象。これを、ピグマリオン効果と言います。子供だけではなく、大人にも言えることでしょう。

最近ブームになっている指導法の一つにコーチングというのがありますが、これがまさにピグマリオン効果の有効な利用です。
コーチングの基本姿勢は、相手は必ず答えを持っているので「信じて」「認めて」「任せる」というものです。自分一人で仕事を抱え、部下に任せるよりも自分でやった方がうまくゆくと思っている上司は、任せたはずの仕事にもあれこれ口を出し、部下のやる気を削いでしまう。人は責任ある仕事を任せられれば、やる気も出て努力することは先の例で述べましたが、ただし任せきりにせず、ホウレンソウ(報告、連絡、相談)を密に心掛けねばなりません。

仕事の評価はタイムリーにすることが大切です。
任せきりで、ほったらかしではピグマリオン効果も現れません。部下にとって何より嬉しいのは、期待されていることを感じたり、褒められたときです。褒めることは「生きていて良かった」と相手に思わせるほど、大きなエネルギーを与える一方、褒めてくれた人への好感度が増すと言われています。
褒める場合は、「よくやってくれた」と言うよりも、「あなたの○○はとてもよくできていましたね」など、具体的にするとより効果的です。

一方で、仕事に失敗はつきものですし、人は失敗から多くを学びます。ですから、きちんと叱ることも重要でしょう。注意点は、

  • 失敗から短期間のうちにしかる
  • 一人にして叱る
  • 他の人と比較して叱らない
  • 仕事と関係のないことにまで波及して叱らない
  • 叱り方に一貫性を持つ

特に「叱り方に一貫性を持つ」については、セリグマンという人が犬を使ってこんな実験をしています。
犬に赤いランプがついたらボタンを押し、緑は押さなくてよいと覚えさせ、赤ランプのときに押さなければ罰として電気ショックを与えます。
だから犬は、必死にルールを覚えます。すっかり覚えたところで、今度はそのルールを無視します。赤ランプで押しても罰を与え、何もしなくても与えたりなど、無差別に罰を与えたのです。
すると犬は苦痛に身をよじりながら電気ショックを浴び続ける。努力をしても状況を変えることができないので、無力感に陥ってしまいました。これを「学習性の無気力症」と呼ぶそうです。

上司と部下の関係に置き換えると、同じことでも前回は叱られなかったのに今回は叱られたとか、Aさんは叱られなかったのに自分は叱られたといったことになり、部下は無気力状態に陥って、モチベーションが下がってしまいます。

叱るときは「脅し」にならないように気をつけましょう。
ある人が口腔衛生のためによい歯ブラシを使うよう説得する際、どんな説得が効果的かを実験しました。「強い脅し」、「中くらいの脅し」、「弱い脅し」の3種類で、「強い脅し」を聞いた人は最も強く心配したにもかかわらず、1週間後、忠実に歯磨きを続けた人は「弱い脅し」を聞いた人より少なかったとか。
強い脅しは緊張感から当面は説得に従うものの、急速に効果は低下する。弱い脅しはじんわりと効果が現れます。

上司たるもの感情的にならず、一貫性を持ち、愛情を持った叱り方を身につけて下さい。

「月刊ゴルフ用品界2004年8月号」((株)ゴルフ用品界社発行)より
ぜひ、このコラムへのご意見・ご感想をお聞かせください
▲TOPに戻る