EMMY代表 渡辺満枝 著者:渡辺満枝

日頃日常生活の中で感じたサービスの事や、マナー、相手のちょっとした気づきで嬉しかったことなどコラムにしました。

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渡辺満枝の気づきのココロ

第16回

企業イメージを決める5つの要点 「RATERの法則」

連日の猛暑で飲料・ビール工場は夏休み返上でフル操業だそうです。従業員は大変でしょうが、不景気で仕事もない業種があることを考えれば、嬉しい悲鳴に違いありません。

一方、夏に私が上げるのは、ただの悲鳴・・・。異常とも思える酷暑に、外出時にはつい、用もないのに冷房の効いた喫茶店に入ってしまいます。スローフードの影響か、最近は喫茶店などもゆったりとしたスペースを取っていて、何気なく入ってものんびり過ごせるお店が増えました。さらに夏場は、強烈な冷房。その快適さについつい長居してしまいますが、冷房が効きすぎて、最後には肌寒く感じてしまうこともあります。

先日打ち合わせで入ったお店も、そんな喫茶店。店内は冷房が効いており、外の暑さが嘘のような快適さでした。そんな中で打合せをしていると、あっという間に1時間近くが過ぎていき、肌寒さを感じ始めたちょうどそのころ、思いもかけず熱い日本茶が提供されたのです。なんとタイムリーで嬉しかったことでしょう。しばし打ち合わせを中断し、相手と感動してしまいました。普通の会社であれば来客にお茶を出すことは当たり前の行為ですが、予期しなかったサービスを受けると人は感動するものです。期待感<サービス=感動という図式で、一瞬にしてその喫茶店の評価は急上昇です。

気分を良くしてお店を出たら、外は相変わらずの酷暑です。その熱気には再び閉口したものの、可哀想なのがサラリーマン。あのネクタイ姿は心底気の毒に思いますが、男性がネクタイを締めているときは女性より体感温度が2度も高くなるそうです。ノーネクタイを推進しているコミュニティもありますが、その良し悪しは別にして、一般的に仕事中は「男はネクタイ」が支配的。男性の夏は大変です。一方、ネクタイを締める「義務」がない女性は、仕事中でも開放的です。ただし、最近はそれがエスカレートして、仕事に行くのかリゾートに行くのかどっちなの?という格好に出くわすこともよくあります。先日、都内の某大手企業へ研修に行きましたが、そこの事務局の女性にはまいりました。ノースリーブに、よれよれの麻のパンツ、足元はなんとつっかけサンダル・・・。「開放感」と引き換えに「緊張感」をまるで放棄してしまったかのようです。名のある大企業での話ですが、その女性たった一人を見た途端、私の評価は急降下です。先述の喫茶店とは正反対の例でした。

このように、顧客と接した「たった一人」の印象が、その会社全体のイメージを大きく左右します。顧客がサービスを評価する時には、当然、判断をする基準が存在します。米テキサスA&M大学のサービス・マーケティング学の権威、レオ・ベリィ教授らの研究によると、評価基準は次の5つが考えられるそうです。

■信頼性(Reliability)・・・顧客との約束をきちんと守る
注文した商品が2〜3日で入るので連絡すると約束をしながら、期日が来ても連絡がない。遅れている旨の連絡もない。スタッフにしてみれば些細なことでも、顧客の立場で考えれば「コンペに間に合わない」「プレゼントの期日を逃す」など、非常に重要な問題であり、信頼性を失うことになってしまう。この例は顧客とスタッフの個人対個人の約束だが、企業が出している広告、会社案内、保証書に謳っていること、あるいは業界標準と思われていることなどが実際に提供されるサービスと違っていたり、まったく提供されなかったりすると、信頼される会社とは言えません。売らんがために無理な約束をしないことです。某電話サービスセンターでは、「お客様に晴れることは約束できなくても、雨が降った時に傘をさしかける約束はできる」を標語にしているそうです。
■安心性(Assurance)・・・自信に満ちたサービスを提供する
最近では物を購入する際、顧客が豊富な情報を持っていることが多いので、売る側はそれ以上に商品知識を持たなければなりません。ライバル会社の商品等にも精通しておく必要があります。また、安心感を与えることのできる態度、表情や話し方も身につけておきましょう。ニーズを良く聴く姿勢も重要です。制服を着てその店にいる限り、新人であっても「何でも答えてくれるだろう」「知っているだろう」と思うのが顧客です。
■目に見えること(Tangibles)・・・施設や設備、スタッフの外見
私たちがレストランを選ぶ時、まず、外観からそのお店を判断し、中に入ると「内装はどうか?」「ウェートレスの身嗜みは?」「料理の器,盛り付けは?」「トイレは清潔か?」「会計は間違えなかったか?」など、目に見えるもので判断してます。ところが応対やサービスは無形のことが多く,また、その瞬間に消えてしまうので、やり直しも出来ないのです。目に見えない部分の価値を具体的に伝えやすくするために、サービスを有形化する努力も大切でしょう。例えば商品を尋ねられた時、実物や写真入りのパンフレットを見せる、価格を聞かれた時はメモや見積り書にして渡す。名刺を差し上げることなどもその一つです。
■共感する(Empathy)・・・配慮や関心の程度
顧客は十人十色でニーズ、期待感、感情,態度など多種多様です。今、自分はどんな態度でどんな言葉をかければ良いか、相手の立場で常に考え、それを実現しなければ相手に配慮は伝わりません。来店されたお客さまが汗をだらだら流している様子に、「きっと暑いのでしょう」と気は利きました。「冷たい麦茶と冷たいお絞りを出してあげたら、きっと喜ぶでしょう」と目も利きました。しかし、実際に提供しなければ何も思わなかったのと同じです。「気」、「目」、「体」が利かなければ「気が利く人」とは言えないのです。これは感性がなければできません。
■タイミングがよい(Responsiveness)・・・迅速に対応しようとする姿勢
ドッグイヤーと言われるこの時代、タイミングは何事もスピーディであることが大切ですが、最高のタイミングは顧客にとって、最も都合のよい時なのです。取り寄せ商品で無理な約束は信頼性を損なうので、期日がはっきりしない場合は「いつまでにお入用ですか?」などと聞きます。顧客に主導権があると感じられ、良い結果が生まれるでしょう。統計によると、顧客にとって最も不快な事なのは、長期間待たされるよりも「どれくらい待たされる」かが分からないことだと言われます。

これらの5つの評価基準を、その頭文字を取って「RATERの法則」と呼んでいます。明確な法則性がありますので、活用して店舗風土の向上に役立ててください。

「月間ゴルフ用品界2004年9月号」((株)ゴルフ用品界社発行)より
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