第36回
宴席でのマナーで好印象を与える様々な秘訣とは・・・
春は人事異動の季節。花束を抱えて街行く人が目立ち、飲食店でも歓送迎会のシーンに出会います。今年の新入社員も研修を終え、私の東奔西走もやっと一段落目前です。
過日、某企業で研修の最終日に打ち上げの懇親会があり、私も参加させて頂きました。会場は立食のバイキング。部屋の中央にたくさんの大皿料理を乗せたテーブルがあり、椅子は部屋の壁沿いに四方を囲むように置かれていました。研修担当者の挨拶が終わり、いよいよ食事が始まったとき・・・。信じられない光景を目にしました。
3〜4人の女性が料理テーブルの前に椅子を運び、料理を取ると、さも自分達のテーブルであるかのように座って食べ始めたのです。ビジネスマナーを担当した私にすれば、研修終了後の懇親会であり、何かを言える立場ではありません。注意をする人もなく、見苦しい状態が続きました。
内部の懇親だから許されるものの、異業種交流会などであれば、会社の恥をさらしてしまう。そういえば、以前にも同じような光景に出会ったことがありました。習う機会がないために、以外に知らない人が多いのです。ビジネス上、宴席は切っても切れないもの。そこで、今回は宴席で恥をかかないためのマナーを確認したいと思います。
席次
- ◆和室
- 出入り口から遠い席で、床の間や掛け軸に近い壁側が上席。新入社員だからと早めに行き、奥から詰めようと床の間の前に座ると、失礼になります。
- ◆洋室
- 和室同様、原則は出入り口から遠い席が上席です。一人用の肘掛け椅子より、ソファ(長椅子)の方が上席。ドアから同じ距離であれば、絵がよく見える席、庭がよく見える席、暖炉の前の暖かい席を上席と判断します。社用ゴルフで訪れたクラブハウスのレストランでは、コースがよく眺められる席を上席とするのがよいでしょう。わかりにくいときはドアから一番近いところに座っていれば、間違いはありません。
和食のマナー
洋食の「テーブルマナー」は学ぶ機会がありますが、和食のマナーは意外とないがしろにされがちです。よく「箸の上げ下ろし」といわれますが、これがきちんとできない人は多いのです。まず、卓上の箸をいきなり鷲づかみにするのではなく、
- 箸を右の指で上から持ち上げる
- それを左手で下から支える
- 右手を返して箸を持つときの位置に構える
- 左手を離す
という手順です。
割り箸を割るときは、膝の上で箸を横向きにし、左手で下を持ち、右手で扇を開くように上下に割る。割った箸はくずが付いていてもこすったりしません。
【お箸使いのタブー】
| ねぶり箸 |
箸をなめること |
| 迷い箸 |
箸を持ったまま、あちこち動かし何を食べようか迷うこと |
| さぐり箸 |
器の中の料理を箸でかき回して探すこと |
| 涙箸 |
料理の汁を落としながら口には運ぶこと |
| 刺し箸 |
箸で料理を突き刺すこと |
| 寄せ箸 |
箸で食器を動かすこと |
| 渡し箸 |
器の上に箸を渡しておくこと |
| もぎ箸 |
箸についている料理を口でもぎ取ること |
使い終わった箸は、箸置きがある場合はその上に乗せておきます。箸袋がある場合はその中に収め、箸袋の先を少し折っておくと、使い終わったことがわかります。
洋食のマナー
- ◆音
- ナイフやフォークがお皿に当たる音、スープをずるずると飲む、パスタをそばのようにすするなど、食事のときに音を立てることは厳禁。
- ◆煙草
- 席に座ってすぐに煙草を吸う人がいますが、原則はメイン料理が終わり、デザートが運ばれるまでは控えます。
- ◆ナプキン
- 料理のオーダーが終わってから、もしくは食前酒が運ばれてきたら、ナプキンの折り目を手前にして半分に折り、膝の上に置く。ナプキンは口と指を拭くもので、それ以外のものは拭かない。中座するときは椅子の上に置き、食事が終わり席を立つときはテーブルの上に置く。
立食のマナー
立食の目的は様々な人と話をすることです。親しい人とばかり、かたまって話をするのはよくありません。また、話もせず、ひたすら食べている人を見かけますが、見苦しいものです。異業種の会合などでは知らない人同士を紹介することも重要です。日本人は紹介しない人が多いと感じますので、積極的に紹介してください。
紹介の仕方は、
- 自分の身内(社内の人)を先に
- 親しい人を先に
- 親しさの度合いが同じなら、小人数の方から紹介する
- バイキングの場合でも前菜、スープ、メインディッシュ、デザートという食事の流れは基本です。女性の場合はなくなることが心配で最初からデザートへ向かいますが、恥ずかしい行為です。
- 料理は食べられるだけ取りますが、1回で山盛りにせず、数回に分けて取りましょう。
- 宴席も終わりに近づき、中座するときは主催者に挨拶をし、人数が多いときは退席しても失礼にはなりません。
お酒のマナー
◆日本酒
- お銚子の中ほどの正面(絵が描いてある方)を上にして持ち、男性は片手で、女性は右手で持ち、片手を添えて注ぎ、注ぎ終わる直前にお銚子を手前に回すとしずくが垂れません。盃に八分目ぐらい注ぐのが飲みやすい分量です。
- 注いでもらうときは、必ず盃を持って受けます。飲めない人でも一度口をつけてからテーブルに置くのがマナーです。
- 上司、先輩から注いでもらうお酒には「頂きます」などと言葉を添え、盃を両手で持って頂きます。
- 自ら盃をもらいに行くときは「お流れを頂戴します」という言葉を添えて、両手で受けます。
◆ワイン
- ワインを注ぐときはグラスの三分の一か、多くても半分まで。グラスの中でワインを動かし、香りが立ちやすいようにするためと、香りをこもらせるためです。
- 注いでもらう人は、グラスをテーブルに置いたままにします。
- 頂くときは手から伝わる体温でワインがぬるくならないよう、グラスの脚の中ほどを持ちます。
- 乾杯ではグラスを合わせない方が良いでしょう。グラスが薄く、割れやすいためです。
◆その他
- 酒席では自分のビールや日本酒を持って上司へ注ぎに行く人を見かけますが、上司の席にあるお酒を注ぐのが正式です。
正しいマナーは人格と知性を表わします。好印象を与えるため、しっかりした振る舞いが必要です。
「月刊ゴルフ用品界2006年5月号」((株)ゴルフ用品界社発行)より